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Aug 22, 2023

Nippon Sanso : 【Taiyo Nippon Sanso】Development of Hydrogen

2023 年 8 月 28 日

工業炉用水素酸素バーナーの開発

CO2削減に貢献するカーボンフリー燃料と酸素燃焼技術

工業炉の排出量

日本酸素ホールディングスグループの産業ガス会社である大陽日酸株式会社(社長:永田 健二、以下「TNSC」)は、水素ガスを燃料とする工業炉用水素酸素バーナーを開発しました。 この開発により、大陽日酸の酸素バーナーシリーズ(SCOPE-JETⓇ、Innova-JetⓇ、Innova-JetⓇSwing)で水素を燃料として使用できるようになりました。 水素ガスを使用した燃焼では、燃料に炭素が含まれないため、二酸化炭素(CO2)の発生がゼロになります。 大陽日酸は、本技術の展開により、工業炉分野における水素エネルギーの社会実装とCO2排出量の削減に貢献していきます。

1. 製品開発の背景

日本では年間約 11 億 2,000 万トンの CO2 が排出されており、そのうちの 35% が産業部門から排出されています。 多くの工業炉からはCO2が排出されます。 日本の工業炉の数は約37,000基と推定されており、2050年までに政府のカーボンニュートラル目標を達成できる。 これらの施設では、CO2 排出量を削減するための措置を講じる必要があります。

大陽日酸は、2014年から脱炭素燃料としてアンモニアに着目し、アンモニア・酸素バーナーの開発に取り組んできました。水素は、アンモニアと並んで工業炉用の脱炭素燃料として注目されています。 大陽日酸は、工業炉分野におけるCO2排出量削減に向けたさまざまな選択肢をお客様に提供するため、2021年度より水素酸素バーナーの開発を進めてきました。

2. 開発の概要と特長 SCOPE-JETⓇ高速酸素ランスバーナ

SCOPE-JETⓇは、超音速の酸素ジェットを形成するランスバーナーで、鉄スクラップを溶解する電気炉(EAF)の省エネルギー技術です。 従来の補助バーナーとは異なり、SCOPE-

JETⓇは製鉄工程において、電炉に鉄スクラップを投入した直後の「溶解段階」ではスクラップの溶解を早める酸素バーナーとして、また、スクラップが溶けた後の「精錬段階」では酸素ランスとして機能します。 これらの特長は、電炉製鋼プロセスにおける生産性の向上とエネルギー原単位の低減に大きく貢献します。

SCOPE-JETⓇによる水素燃焼は火炎温度が高く、燃焼速度も速いため、バーナー付近が高温となり、バーナーへの熱負荷を軽減する対策が必要です。 大陽日酸独自のノズル構造を採用することで、安定した燃焼を実現し、天然ガス燃料と同等の噴射特性を獲得しました。

-1-

【ランスモード】

天然ガス 80 Nm3/h

酸素 800 Nm3/h

【ランスモード】

水素 400 Nm3/h

酸素 800 Nm3/h

【バーナーモード】

水素 500 Nm3/h 酸素 800 Nm3/h

図1 SCOPE-JETⓇの燃焼炎

Innova-JetⓇ 超低 NOx 酸素富化バーナー

Innova-JetⓇは加熱炉・溶解炉の省エネ技術であり、排ガスによる熱損失を大幅に低減し、エネルギー原単位の低減に大きく貢献します。 加熱炉で酸素富化燃焼を採用する場合、多量のNOx発生を抑制する必要があります。 大陽日酸は独自のノズル構造と多段燃焼によりNOx排出量を大幅に低減し、さまざまな工業炉に採用されています。

Innova-JetⓇ による水素燃焼では火炎温度が高くなるため、さらなる NOx 制御対策が必要になります。 従来のノズルコンセプトを水素に最適に改良することで、NOx排出量を工業炉で使用可能なレベルまで低減し、天然ガスバーナーと同等の伝熱特性を獲得しました。 大陽日酸は現在、欧州の実炉でInnova-JetⓇの評価試験を実施中です。

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